子宮頸がんワクチンに副作用はあるの!?ヒトパピローマウイルスって何!?

子宮頸がんについて皆さんはどのような認識をもっていますか?

少し健康問題に詳しい人であれば、数年前におきたワクチンによる副作用問題で子宮頸がんワクチンの危険性が話題に上がったことをご存知だと思います。

でも、本当に危険だったのか、噂だったのか、そして、その後どうなったかはご存知でしょうか?

ここでは、女性にとってはとても心配で大事な子宮頸がんワクチンの副作用や現在の研究状況などを紹介していきます。

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子宮頸がんワクチンは、意味あるの!?

子宮頸がんを予防するとして、世界中で導入されている子宮頸がんワクチンが、現在日本ではほとんど推奨されていません。

というのも数年前に副作用と疑われる症状が発生し、その情報が拡大されてしまったからです。

その後、厚生労働省も自体を重くみて、日本では子宮頸がんワクチンの国による積極的勧奨を中断しています。

しかし、最近では国内の複数の研究機関により、子宮頸がんワクチンの予防効果が証明されつつあります。

子宮頸がんワクチン摂取が減ったら、子宮頸がんが増加している

子宮頸がんワクチンの積極的勧奨が中断したことにより、2000年度生まれ以降においては、子宮頸がんにかかるリスクがワクチン導入前のレベルまで戻ってしまったと推計されています。

日本では20〜30代の女性で子宮頸がんが増加しており、年間1万人以上が新たに診断を受け、過去10年間で死亡率は9.6%も増加しているのです。

まずは子宮頸がんについて紹介し、その後、予防接種ワクチンや最近の研究状況などを紹介していきます。

 

子宮頸がんってどんな病気なの!?子宮体がんとは違うの!?

違いは場所!?

子宮頸がんと子宮体がんは、原因や発症しやすい年齢や特徴などが、まったく違うことを覚えておきましょう。

腟の一番奥にある子宮の入り口を「子宮頸部」といい、この場所にできるがんを、子宮頸がんといいます。

そして、その子宮頸部の奥にあり、妊娠した時に赤ちゃんが育つ場所を「子宮体部」と呼び、この場所にできるがんを「子宮体がん」といいます。

一般的に子宮がん検診というと、子宮頸がんの方の検診のことを指しています。

一般的に「子宮がん検診」と言うと、「子宮頸がん」の検診のことを指します。

これは、子宮頸がんの方が子宮体がんに比べると発症頻度が高いためでしたが、最近では、食生活の変化などにより、子宮体がんも増えてきているのでどちらの検査も行われるようになってきました。

子宮頸がんは、予防も早期発見もできる病気!

子宮頸がんは早期発見したり、予防する必要性があることをご存知ですか?

女性の場合には、乳がんががんによる死因としては有名ですが、実は若い20代、30代の女性の場合には、子宮頸がんが増えているのです。しかもその数も年々増えているようです。

また厄介なことに初期には症状がほとんどなく、自覚症状があらわれる頃には、病状が進行していることが少なくありませんので早期発見が必要です。

そのために子宮がん検診を若い頃から受けることが必要になってきます。

子宮頸がんは何でなるの!?ヒトパピローマウイルスって何!?

子宮頸がんは、発がん性のHPV(ヒトパピローマウィルス)の感染によって引き起こされます。

ここで注意しなければならないのが、HPVの存在です。

HPVは性行為によって感染し、性交経験者の女性の約80%が、一度は感染すると言われるほどの出会う確率の高いウイルスです。

もちろん、ほとんどの場合においては、ウイルスに罹患していても自然淘汰されます。

しかし、その中のウイルスの一部ががん化し、子宮頸がんを発症する可能性があるのです。

HPVは予防できるの!?他には何かしないの!?

子宮頸がんは、ワクチンによる予防が唯一可能ながんと呼ばれており、ワクチンにより予防することができます。

また、検診によって初期の段階で発見されることが多いがんとも言われています。

万が一、子宮頸がんと診断されても初期の段階で発見してしまえば、子宮頸部のがん組織だけを取り除く手術によって、子宮を温存した治療も行えます。

また、治療後にも妊娠できる可能性も残りますし、検診による早期発見が必要なのがんなのです。

一方で、HPVは子宮頸がんの他にもがんを発症させる可能性があります。

外陰がん、肛門がん、男性の陰茎がんの原因にもなると言われており、また発がん性でない低リスク型のウイルスは、尖圭コンジローマの原因にもなってしまいます。

大切なのは、子宮頸がん検診を毎年受けることと、子宮頸がん予防ワクチンを接種することです。

 

子宮頸がん予防ワクチンとはどんなワクチン?

HPVに対するワクチンで、子宮頚がんを予防することができます。

HPVに対するワクチンには主に以下の2つの型があります。

  1. 16型
  2. 18型

この2つのワクチンにより子宮頸がんが理論的に60%減らすことができると言われています。

最近では80%減るという調査結果もあるようです。

また子宮頸がんだけでなく、尖圭コンジローマの原因となる低リスクのHPVも一緒に予防できるワクチンもあるようです。

ただし、ちゃんと知っておかなければならないのは、発がん性の型は他にもたくさんあり、ワクチン接種をしたからといって、すべての型の感染を防ぐことはできません。

くれぐれもワクチン接種をしたからといって、子宮頸がんにはならないと誤った理解をしてはダメです。

つまり、子宮頚がんの発症やその兆候を見逃さないためにも、ワクチン接種後も必ず定期的に子宮がん検診を行うようにしましょう。

HPVワクチン対象は何歳からなの!?

9歳から45歳までの女性。
特に9歳から16歳くらいまでの、性交未経験の方への接種が勧められています。

子宮頸がん予防ワクチンの種類は?

ガーダシル

①投与方法・投与間隔

6ヶ月の間に3回の筋肉注射

②期待できる効果

  • 子宮頸がん
  • 外陰がん
  • 腟がん
  • 尖圭コンジローマ
  • 成人性再発性呼吸器乳頭腫

③対象

9歳以上の女性(特に11〜14歳の女性に強く推奨されています)

サーバリックス

①投与方法・投与間隔

6ヶ月の間に3回の筋肉注射

②期待できる効果

  • 子宮頸がん
  • 外陰がん
  • 腟がん

③対象

10歳以上の女性(特に11〜14歳の女性に強く推奨されています)

ワクチンの接種費用は?

保険適用外であるため、病院ごとに違いますが、だいたい1回につき15000円〜16000円程度。

病院によっては、3回セットで数千円の割引価格になる病院もあります。

また、地域によっては、中学1年生~高校3年生までを対象に無料で接種できるところもあるので問い合わせてみるとよいでしょう。

摂取する場合の頻度に注意!

子宮頸がんの予防ワクチンは半年間に3回接種します。

これを1日だけで済まそうとは思わないでください。もしくは1回だけで簡略するのも意味がありませんのでしっかり3回受けましょう。

目安としては、1回目から1~2ヶ月後に2回目、1回目から6ヶ月後に3回目がよいでしょう。

必ず問診と聴診をしてから、予防接種するので、気になることがあれば質問や相談しましょう。

HPVワクチンによる副作用がニュースなどでも、大きく取り上げられていますが、最近の調査では重篤な副作用を生じることは稀だと言われています。

何か気になることや副作用が発症した場合の対応などは病院に事前に聞いておきましょう。

 

子宮頸がんワクチンで副作用が出た場合には!?

まずは相談!

子宮頸がんワクチンを受けた後に気になる症状が出たときは、周りの大人などにすぐに相談しましょう。もちろん、直接病院に連絡するも問題はありません。

また、お子さんが子宮頸がんワクチンを接種する場合には家族の方がしっかりと、その効き目と起こるかもしれない体の変化について知っておきましょう。

もちろん、本人にもその自覚が必要です。

気になる症状はどんなもの?

まず、考えられるのは、子宮頸がんワクチンにかぎらず、注射の針を刺したときに出る強い痛みやしびれを感じる場合です。

次に、ワクチン接種後に、注射した部分以外のところで痛みや手足のしびれ・ふるえなど気になる症状や体の変化がある場合です。

このレベルでも周りの家族や病院に相談してもよいでしょう。また、その場合にもワクチンを接種したことも合わせて伝えるようにしましょう。

その他にも考えられる症状としては以下のようなものがあります。

①よく起こるもの

  • 注射した部分の痛み、はれ、赤み、かゆみ、出血、不快感
    疲れた感じ
  • 頭痛や腹痛
  • 筋肉や関節の痛み
  • じんましんやめまい

②稀に起こるもの

緊張や不安などをきっかけに気を失うこと

③これまでに報告のあった重篤な副反応

アナフィラキシー:呼吸困難、じんましんなどを症状とする重いアレルギー(74万接種に1回)

ギラン・バレー症候群:手足の力の入りにくさなどを症状とする末梢神経の病気(178万接種に1回)

急性散在性脳脊髄炎(ADEM):頭痛、嘔吐、意識の低下などを症状とする脳などの神経の病気(222万接種に1回)

(※厚生労働省)

不随意運動について知っておく!

ワクチンを接種したあとに、広い範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動(動かそうと思っていないのに体の一部が勝手に動いてしまうこと)などを中心とする多様な症状が起きたことが報告されています。これらの原因は現在調べているところですが、その報告頻度は5万接種に1回であり、ワクチンを接種した後や、怪我の後などに原因不明の痛みが続いたことがある方はこれらの症状が起きる可能性が高いと考えられているため、接種については医師とよく相談してください。

(※厚生労働省)

 

最近の子宮頸がんワクチンの動向は!?問題ないの?

有効性を示す研究が国内でも発表されてる!?

最近では、子宮頸がんワクチンの有効性を明らかにしてくれる研究が、国内でも報告されはじめています。

その1つが、2015年度から厚生労働省科学研究としてはじめられた「HPVワクチンの有効性と安全性の評価のための大規模疫学研究」です。

結果として以下のような報告があげられています。

新潟県の女性2196人が登録している追跡調査(NIGATA STUDY)の中間解析で、ハイリスクとされるHPV16・18型に20〜22歳で感染している率は、ワクチン接種者で0.2%、未接種者で1.8%と、接種者の方が統計学的に意味のあるレベルで低かった。(厚生労働省科学研究)

大阪府で行われている追跡調査(OCEAN STUDY)の中間解析でも、ワクチンを接種していない人では20歳時点でのハイリスク型HPV感染率が4.9%だったのに対し、接種者では0%と有意に低い結果が出ている。(厚生労働省科学研究)

宮城県で2014年度に子宮頸がん検診を受けた20〜24歳の女性3272人のデータを解析したところ、細胞診で何らかの異常が指摘された率は、HPVワクチンを接種していない人で5.03%だったのに対し、接種した人で2.41%と有意に低かった。(厚生労働省科学研究)

秋田県でも、2014年1月〜16年10月に検診を受けた2425人を解析した結果、やはり細胞診で異常が確認された率は未接種者で2.04%だったのに対し、接種者で0.242%。ワクチン接種が、異常が見つかる率を88.1%下げた。(厚生労働省科学研究)

これ以外にも、国内の21施設で前がん病変、もしくは、子宮頸がんと診断された女性のハイリスクHPV感染率を調べる大規模研究(MINT Study)も実施されており、その中間解析でも、ワクチン接種者の発症が有意に低かったと言われています。

日本産婦人科学会も接種を積極的勧奨

このような日本での研究の動きを世界はどうみているのでしょうか?

世界保健機関であるWHOは最新の安全性評価で、「HPVワクチンと様々な症状との因果関係を示す根拠は今のところない」と発表しており、「HPVワクチンは極めて安全である」と結論づけています。

同様に、日本産科婦人科学会はHPVワクチン接種の積極的勧奨を求める声明を公表しています。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?子宮頸がんは自分にも影響がありますし、子供にも関係してくるのでその副作用は心配なところですよね。

数年前には、子宮頸がんワクチンは副作用があるという疑惑が生じて、厚生労働省も現在は一時的に積極的な接種のおすすめはしていない状況になってしまっていますが、最近の研究では、副作用との因果関係がないことが証明されつつあります。

難しい科学的な内容になっているので、なかなか専門的な知識のない人にはわかりませんが、少なくとも予防接種をしないことには危険性は上がったままです。

よ家族で相談したり、医師に相談したりして、接種すべきかどうかを判断しましょう。